26SS RIGHT TIME, RIGHT PLACE




























― 時在の輪をめぐる ―
ネイティブ・アメリカンの教えにある「メディスン・ホイール」。それは東西南北と四季が交差する円環であり、動物、植物、鉱物、そして風や火までもが、等しくその輪の中に共存しています。このホイールは、地球の動き、人の一生、そして魂の旅路すら映し出す、宇宙的な地図のようなものです。
ただし、人間だけは生まれながらにしてこの輪の外に立たされていると言われます。だからこそ、知恵を持ち、学び、体験を重ねることで、自ら輪の中に入る術を見つけなければならないのです。輪から外れている限り、人は「ここではないどこか」を求め続け、今いる場所や時間に違和感を抱きながら生きるしかありません。
しかし、もしこの輪の内に入ることができたなら――どんな瞬間であっても、それは「RIGHT TIME, RIGHT PLACE(正しい時、正しい場所)」となる。そこには、意味や成功といった外的な評価では測れない、内側の確かさがあります。
ネイティブの教えでは、私たちは決して“居心地のよい場所”に留まり続けてはならず、東西南北を巡るように変化を受け入れ、たとえ苦しい場所であってもそこに身を置く必要があるとされます。その巡りのなかでこそ、魂のバランス感覚が育まれるのです。それは、外の旅であると同時に、精神の内なる運動でもあります。
TOKIARIが今回掲げる「RIGHT TIME, RIGHT PLACE」というテーマは、この輪を巡る旅への静かな共感です。ただ“今ここに在る”ということの豊かさに信を置き、流れに抗わず、導かれるように歩くこと。
服とは、そんな旅の同伴者であり、時に“魂を運ぶポータル”ともなる存在です。
私たちの衣服が、誰かの内なる輪へと続く扉であれば――そう願いながら、今季の服を仕立てています。