25AW ‘VALKYRIE’ SALVAGED HONOR CREW JACKET

「神話ヴァルキリー」という見立て

“VALKYRIE GUARDIAN HERITAGE JACKET”(ヴァルキリー)は、北欧神話に登場する戦乙女ヴァルキリーに由来しています。彼女たちは戦場を駆け、英雄を救い、ヴァルハラへ導く守護の存在とされています。

デザインのベースは、1960~70年代のアメリカ陸軍ヘリコプタークルージャケット。ヘリコプターは、戦場や災害の最前線において、負傷者を救出し、物資を届け、人々を安全な場所へと運ぶ役割を果たしてきました。その機動性と救助の機能は、まさにヴァルキリーの「守護」と「救済」の象徴と重なります。

このジャケットには、そうした精神を受け継ぎ、過去の素材を再生し未来へと継承する「ヘリテージ」の理念を込めました。防寒性と機能美を兼ね備えながら、ジビエレザーや裂き織といった素材に新たな命を吹き込むことで、ただの衣服ではなく、着る人の時間とともに物語を紡ぐ一着となることを目指しました。

DESIGN, DETAIL & MATERIAL
救済と守護の精神を纏う

ベースになる素材はハイランドウール。ブルガリアの山岳地帯で育つ羊のクリンプ性に富んだ羊毛で、軽やかで膨らみを持ったちりめんのような表情。単調になりがちな黒でも、深く柔らかい奥行きのある陰影の表現力があります。

襟と左腕のポケットには、カット後に残ったハイランドウールを裂き織に仕立てたもの。岩手県滝沢村の工房で、東北の伝統技法を用い、手仕事の温もりをモダンな表情へと昇華しました。時間をかけて織り上げられた生地には、職人の技と静かな力強さが宿っています。

スロートタブには奈良の鹿革(ジビエレザー)。生きた命に敬意を払い、その存在を静かに現在に繋いでいます。植物なめしを施した革はしなやかで、年月とともに深みを増していきます。フロントは、オリジナルのように金属ファスナーではなく、艶消し水牛ボタンと比翼仕立てにして、布地の持つ自然な風合いを引き立てました。実用性の高いフラップ付きポケットはそのままにしています。

ゆったりと丸みを帯びたシルエットに、袖とウエストに配したウールリブが心地よいフィット感を生み出し、動きやすさと防寒性を両立。裏地には近江晒しを施したタイプライターコットンを使用し、琵琶湖で揉まれた柔らかいタッチ感で着心地を良さを追求しました。必要な機能性と力強さの中にやさしさを添え、静かに寄り添うような一着に仕上げています。

STYLING「VALKYRIEを纏う」

 

 

 

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