25AW ‘WABI-SABI ~Stains of Time / 時の痕跡’
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世阿弥の思想と「花」の哲学
今季のコレクションは、世阿弥(ぜあみ)の思想に想いを馳せたものです。
世阿弥は、室町時代に京都を拠点とし、将軍・足利義満の庇護を受けながら能楽を洗練させました。父・観阿弥とともに猿楽を発展させ、能を日本独自の高度な舞台芸術として確立しました。
彼の思想は著書『風姿花伝』に詳しく記されており、「花」の概念は能楽だけでなく日本美学全体において重要な影響を与えています。「花」とは、若さがもたらす「時分の花」という一瞬の美から、経験と成熟によって得られる「まことの花」という深みと味わいを指し、この移ろいは時間がもたらす成長の象徴です。
現在の社会では、アンチエイジングや若さへの渇望、老いへの抵抗が注目されがちですが、時間がもたらす真の価値を見つめ直すことも必要です。時が生む深みや知恵、洗練、慈愛といった老いによる「染み」こそが、より深い美しさを生むのではないでしょうか。若い頃は誰しもが輝いていますが、老いを受け入れることで得られる味わい深い美しさもまた特別です。
このコレクションでは、時の持つ不思議さや面白さ、若さの美しさと老いの深みの両方を見つめ、時間の移ろいがもたらす普遍的な美を現代のデザインに映し出しました。
ZEAMIコート:侘び寂びを体現する一着
今季のコレクションは、ZEAMIコートから全てが始まりました。このコートはトレンチコートをベースにしながら、日本人の着物のDNAをデザインに取り入れた一着です。星が瞬く夜空のような表情を持ったメルトンウールを基調に、裂き織とジビエレザーを要所に配することで、侘び寂びの美学を現代的に表現しました。
裂き織は懐古的な素材としてではなく、人の手の温もりを感じるモダンなテキスタイルとして考えました。ジビエレザーは、「消え去る運命だったものが人の手によって再び蘇り、新たな価値を持つ」という強いメッセージを発しています。これらは、侘び寂びの美学や世阿弥が説いた「花」の哲学と共通する、時の美しさを表しています。
時間を超えた価値と世阿弥の「花」の哲学
世阿弥が『風姿花伝』で語った「花」の概念は、芸術の核心をなすものです。それは一時的で儚く、観客に感動を与える力を持ちながら、経験を重ねることで「時分の花」から「まことの花」へと深化します。若さがもたらす新鮮な美しさから、老いが生む深みや味わいへと進化する過程は、時間が素材やデザインに与える影響そのものです。
この哲学は、侘び寂びや「Stains of Time」というテーマと深く共鳴しています。時間の経過が素材やデザインに新たな価値を与え、儚さや移ろいの中に宿る深い魅力が、TOKIARIのコレクション全体に息づいています。
侘び寂びが語る時の痕跡
25AW「WABI-SABI ~Stains of Time」コレクションは、時間がもたらす美しさを核に、侘び寂びの哲学を現代的に表現しています。その中心には、日本文化のDNAを宿すZEAMIコートがあり、裂き織やジビエレザーに新たな命を吹き込むことで、再生の精神を象徴しています。
衣服は、ただ身を包むための道具ではなく、場面や風景、一緒にいる人々との調和を生む存在です。ファッションは時代や文化を映し、装いの楽しさや華やかさを提供するものでもあります。しかし、それだけでは語り尽くせない奥深さが宿っています。美しい器を選ぶように、静かな目で布の質感やフォルムを愛で、シルエットを味わってほしい。それが、私たちが考える衣服選びの本質です。
華美すぎず、それでいて確かな存在感を持つ一着。時を経ても揺るがない素材とシンプルなデザインが、クローゼットに静かに寄り添い続けます。若い世代だけでなく、経験を重ねた大人にこそ響く衣服を。一つひとつに込められた思いと手仕事の美しさを感じながら、移ろう時とともに深まる魅力を楽しんでいただきたいと願っています。
使い込むほどに馴染み、風合いを増していく布。その変化が、日々の暮らしの中で自分だけのものへと育っていく。移ろいゆくものの中にこそ宿る美しさを、そっと味わっていただければ幸いです。
素材のこだわり
ブリティッシュウールメルトン/まるで星が瞬く夜空のような表情
まるで星が瞬く夜空のような表情のこの生地の原料には、この商品の原料はイギリス・ウェールズ地方の丘陵で育った ラドーナ種の羊毛を使用しており、膨らみと厚みと暖かさを持ち合わせた特徴があります。さらに 熟練の技術者により、ゆっくりと時間をかけて縮絨加工をなん度も繰り返しフエルトのような柔らかく滑らかな肌ざわりと保温性と撥水性を持ち合わせています。さらに ウールケンピを混ぜ込み衣装性も優れており、オリジナル性と他には無い唯一無二の冬のアイテムに最適な商品です。紡績は泉州(繊維を糸にするプロセス)、尾州で織り整理になります。
ブリテッシュウールツイード/クラシックで温かみのある表情とタッチ感
クラシックで温かみのある表情とタッチ感のある高密度に織り上げたこの織物は、オリジナルのトップカラーで展開されています。283g/mの目付を持ちながらも、美しい光沢、軽さ、そしてなめらかな風合いを兼ね備えています。また、この梳毛織物は、適度な保温性を持つと同時に、吸湿性と保湿性にも優れているため、蒸れにくいのが特徴です。さらに、伸縮性と弾性が高いため型崩れしにくく、シワも寄りにくい性質を持っています。そのため、仕立て映えする高品質な商品です。紡績は三河(繊維を糸にするプロセス)、尾州で織り整理になります。
ウールギャバジン/タフでエレガント、美しい光沢と軽さとなめらかな風合い
タフでエレガントな表現を持つウールギャバジン。この特徴は高密度で織り上げた この織物はオリジナルトップカラーで 展開。さらに、283g/mの目付が ありながら、美しい光沢と軽さとなめらかな風合いを持ち合わせています。また、この梳毛の織物は適度な保温性があり、加えて吸保湿性に優れるため蒸れにくく、伸縮性と弾性が高く 型崩れしにくく シワもよりずらく仕立てばえのする商品です。
ツイルリネン反応染+墨染
国内で織り上げた40/1リネン100%の生地を反応染めで染色後、生地に味のあるムラ感や表情感を出すために、日本古来の墨染めを施しています。これにより、墨の深みが加わり、ランダムなシワ感と独特な表情が生まれる生地に仕上がっています。
デニム
上品な光沢とリジットな表情をもったメイドイン岡山デニム。吸水性と発散性が高く、毛羽立ちが少ないとされるピマコットンを経糸に使用。高級感のあるなめらかな風合いのライトデニムで、硬質な表情でありながら、しなやかな風合いで着やすさがあります。時と共にフェードする色合いをお楽しみください。
Supima綿とFrenchLinenの超高密度ツイル
Supima綿とFrenchLinenの超高密度ツイルで表面はSupima綿の上品な細番手ならではの自然な光沢感と滑らかな肌触りで、裏面は麻の持つナチュラル感があり、肌に張り付かずさらりとした肌触りになっています。きめ細かく高い解像度に微妙なうねりとシワ感があり、陰影を繊細に表現します。表情に深みのある素材です。
コットンリネン リバーシブルカルゼフィナージュ
経糸にコットンの40/―を、緯糸にリネンの40/1とコットンの16/―を使用して織り上げた生地です。昔ながらの手法で染色を行い、仕上げに天日干しで乾燥させ、ナチュラルなワッシャー感を持つ生地に仕上げています。表面と裏面で異なる表情をしており、表面は右綾のような仕上がりになっています。
裂き織(幸呼幸JAPAN様 HPより抜粋)
「裂き織」の起源は江戸時代中期、寒冷な気候のため綿や織維製品が貴重だった東北地方にあると言われています。当時は日常生活に用いる衣類や布団などの布を、裂いて細く繊維状にし、ねじりながら織り上げていました。
17世紀になって、東北地方にも古木木綿(木綿の古布)が入るようになり、その肌触りのよさは多くの人を魅了しました。しかし、古布とはいえ安いものではなかったため、貴重品として「使い切る」文化の中で裂き織技術が発展していきました。
裂き織は、その工程のほとんどが人の手で行われます。布を細く裂いてよこ糸をつくり、経糸を通した織り機で一段一段ていねいに織り込んでいく。それは単なる作業ではありません。人の手を通じて、ものを愛おしむ気持ちも一緒に織り込まれています。だからこそ、機械では表現できない暖かみのある独特な風合いを生み出すのです。
ジビエレザー(ポルティラ様 HPより抜粋)
現在、日本では鹿による農作物被害が年間約60億円にも上ります。その背景にはオオカミの絶滅や猟師の減少、地球温暖化など複雑な要因があります。駆除された鹿の多くが廃棄される中で、生命の尊さを考え、その皮革を衣服へ取り入れることで、新たな命を生み出したいと考えています。
ジビエ料理として食べられているのは10%以下、そのお肉の副産物である皮革の利用は1%にも満たないのが現状です。ポルティラは自然の恵みを余す事なく使う事を考えます。狩られるのであれば、お肉は食べ、その皮は日本の野山が育んだマテリアルとして利用する。
“人の利己的な経済活動により社会問題化した害獣”、ポルティラは皮なめしという微力な営みではありますが、その問題解決の一つの足がかりとなり、解決に向けた横のつながりを構築していこうと考えております。